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12cm~越えられない距離~

第7章 球技大会で

体育館の出入り口の扉を開けた。

途端に中の歓声とボールの跳ねる音に包まれる。

「うわ、すっげぇ盛り上がってんな」

「室内だからね。音が響くんだよ」

真央は慣れたように笑いながら話す。

体育館は真ん中をネットで仕切られていて、それぞれのコートで男女別に試合が行われている。

男子は3B対2A。女子は…あ!!

「女子は俺らのクラスじゃん!!」

ノブちゃんも気付いたのか。

「繚、応援行こうぜ」

「あ、あぁ」

もうすぐ出番の真央も引き連れて、2階の観覧席に行った。

普通、応援してる人って同じクラスの奴だと思うんだけど。

観覧席に行って、クラスの奴らの数より見知らぬ顔触れの多さに驚いた。

しかも。

「根本せんぱ~い!!」

「きゃ~っ!!超カッコいい!!」

声援を送ってるのが女の子ばっかりで。

それもアキにばっかりで。

「アキ様~!!」

「…へ?」

アキ様!?『様』って何だよ!?

思わず間抜けな声を上げた。

「繚、どうした?」

ノブちゃんが不思議そうに俺を見てる。

「アキ様って…何者?」

俺の呟きに、二人は顔を見合わせると吹き出して笑いだした。

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