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12cm~越えられない距離~

第1章 出会い

二人きりの空間に、俺がたてる物音だけがする。

気まずさをとりなすように、先生は明るく話し出した。

「繚平くんは、絵には興味ないのかい?」

「ん~、そうですねぇ」

「せっかく美術部員なんだから、たまには描いてみたらどうかな?」

「ん~、無理ですねぇ」

え、と固まってしまった先生に、俺はにっこり微笑むと

「授業ならまだしも、部活でやりたくないことする気はないんで。俺は俺がやりたい事をしたいんです」

「つまり、それしか興味ないって事かい?」

俺の荷物を指差しながら問う先生に

「はい」

きっぱり言い切った俺。

「皆の邪魔はしません。片隅で大人しくしてますから」

「だけどね…」

何かを言いかけて、先生はため息をついた。

「まぁ、それも美術の一部だからいいのかな…」

「すみません」

俺は道具を鞄にしまうと、先生に頭を下げた。


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