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12cm~越えられない距離~

第9章 絵を描く、という事

俺はスケッチブックを取り出すと、シュート練習をしている姿を書き始めた。

輪郭を捕らえるだけの、粗い書き方。

今ここで動いているアキを見ながら、球技大会のアキを思い出して、印象深いシーンを書いていると…

「…繚平くん!?」

突然後ろから声をかけられて、ギクッとしてしまった。

「…何だ、真央か」

「その言い方ひどっ!!」

笑いながら近くに来ると、俺の手元を覗き込んだ。

「スケッチ?人物描くの珍しいよね」

「あ…何となく、な」

「ふーん」

パラパラとスケッチブックをめくり、描いた絵を見た真央が聞いてきた。

「やっぱり上手い人を描きたくなるものなの?」

「え?何で?」

「アキしか描いてないみたいだから」

…何で分かったんだ?

輪郭だけで、表情なんかの細かい部分は何も書いてなくて…

誰を描いたかなんて、分かりようがない絵なのに。

「あ。当たり?」

こいつ…!!カマかけて来やがった!!

憮然とした俺に、真央はくすくす笑いを向けた。

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