12cm~越えられない距離~
第9章 絵を描く、という事
「今度は人物で彫るの?」
「そうだなぁ…」
今のところ、特に作りたいものはないんだ。
ただ…球技大会の時の、逆転シュートを決めた姿が鮮明に残ってて。
「版画より、別な形で表現出来ないかな…」
独り言のように呟いて、スケッチブックを見返す。
「ま、これは設計図だし」
「繚平くん、そこは変わらないね」
理解ができないとばかりに、真央が首を傾げた。
「絵描くの上手いのに」
「俺にとって『絵』は、表現方法じゃないんだよ」
前野先生が言ってた、絵描きには二種類いるって話。
俺はどちらにも属さないんだ。
俺にとって『絵を描く』って事は、木版画を造る為の下書きをするって事で。
いわば構成を組み立てるための設計図を書いてるのと一緒だと思っている。
細かい作品を作りたければ、設計図が緻密になるのは当たり前だ。
だけど、それを褒められても嬉しさはない。
だってそれは『作品』じゃないから。
俺にとって、達成感や満足を得られるものは、木版画を造る事でしかないんだ。
「そうだなぁ…」
今のところ、特に作りたいものはないんだ。
ただ…球技大会の時の、逆転シュートを決めた姿が鮮明に残ってて。
「版画より、別な形で表現出来ないかな…」
独り言のように呟いて、スケッチブックを見返す。
「ま、これは設計図だし」
「繚平くん、そこは変わらないね」
理解ができないとばかりに、真央が首を傾げた。
「絵描くの上手いのに」
「俺にとって『絵』は、表現方法じゃないんだよ」
前野先生が言ってた、絵描きには二種類いるって話。
俺はどちらにも属さないんだ。
俺にとって『絵を描く』って事は、木版画を造る為の下書きをするって事で。
いわば構成を組み立てるための設計図を書いてるのと一緒だと思っている。
細かい作品を作りたければ、設計図が緻密になるのは当たり前だ。
だけど、それを褒められても嬉しさはない。
だってそれは『作品』じゃないから。
俺にとって、達成感や満足を得られるものは、木版画を造る事でしかないんだ。