テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第9章 絵を描く、という事

休憩が終わったと真央が戻って行き、コートではパスワーク中心の練習が始まった。

アキは…要さんと、あと二人(名前分からないな…)に囲まれて、別の動きをしている。

要さんが何やら指示だして、アキがシュートをしようとするのを、二人がかりで阻止しようとしてる…みたいな…。

フェイクの練習?

そういうのも、日頃から練習をするんだ…。

感心しながら、スケッチブックに書き込んでいった。



暫くして。

もうそろそろ俺も部室に戻るか…。

持ち物を片付けて、体育館から出ようとすると、ちょうどボールを体育倉庫に戻そうとしているアキと目があった。

「よぉ。アキ、お疲れ」

「繚。何してるの?」

「あ、素材集め」

スケッチブックを掲げるも、わけわからないって顔をされる。

「ん~、スケッチ?…のような物」

近寄って、最後のページを見せた。

粗書きだけど、真央に見せたものより細かく書き込んである。

「もしかして…私?…何で?」

そう。誰を描いたのか分かるくらいには。

「ん…描きたかったから。嫌だった?」

俺の返事に納得いかないのか、ちょっと困ったような顔をした。

「え…嫌って言うか…」

「嫌じゃなければ、モデルお願いしたいんだけど」

「モデル!?」

アキは目を丸くして俺を見た。

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