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12cm~越えられない距離~

第10章 『エース』の悩み

アキの手のひらに指を置き、ふと思った。

「アキって…意外に手が小さいんだな」

「意外って失礼だよ?」

「悪い悪い。でもさ」

俺はアキの手のひらに、自分の手を重ねた。

「やっぱり。俺と変わらないじゃん」

「あ…」

中指の先端と手首までの長さが殆ど同じ。

アキはよほどビックリしたのか、まじまじと重なった手を見ている。

「アキ、174cmだっけ?」

「今月計ったら175になってた」

「成長期~。このまま180越えるかな」

「それは嫌」

ピシャリと撥ね付けられた。

「バスケの選手で180越えてる人、いるだろ?」

「いるよ。190以上もいる」

女子でもそんな高い人いるんだ!?

「…でもさ、私、バスケの為だけに生きてる訳じゃないんだよ」

…あれ?

「普通の高校生が普通に暮らしてて…部活でバスケやってるだけなんだけどな…」

そう言って、ふう、とため息をついた。

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