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だぶるラブ! 僕の周りは花盛り

第2章 キミを見ている

     *

 入学式を行なうホールには、続々と集まって来る。

 生徒達は一階の席に、保護者は二階席に座る事になっていた。


「あれ?笹木弟くん?…そこは、空き席だよ?」
 放送部の生徒が一番後ろの席に座る男子生徒に声をかける。

「あ゛!どこに座ってもいいだろ(怒)!」
 男子生徒は怒った顔で立ち上がる。

「ひ!ごめん…」
 立ちあがると190を超える大柄に、圧倒されて逃げるように持ち場に急ぐ放送部の生徒。

「…どいつも、こいつも…同じ事聞きやがって…」
 『笹木弟』と呼ばれたこの男子生徒は、ふて腐れた顔のまま、席にドカッと付く。

 彼は笹木 錬馬(ささき れんま)笹木裕真の弟。

「俺は、兄貴のそばにいたいんだけなのに……」
 錬馬の心の声がこぼれる。


 周りの生徒達がザワザワこっちを見ている。

「みてみて…あの子じゃない?キングの……」
 近くにいつも『キャーキャー』うるさい追っかけの声が聞える。

(うるさいなー、そうだよ!おれが…会長の…)
 『静かにしろ!』と言いたい所だか、もうすぐ始まるから、文句を押し殺して、壇上の方を向く錬馬。

「!」
(な!いきなり前になんかあるんだよ!)
 今まで壇上が良く見えていた目の前の席に、頭一つ発見する。

「…おい、お前!」
 錬馬は前の席の背もたれを一回蹴って生徒を振向かそうとする。

「は、はい?」
 前の席に座った生徒が後ろを向く。

 振向いた生徒は線の細い華奢な男子生徒だった。

(それにしても、細いなぁ鍛え方がなってない!)
 錬馬は眉間にくっきりとシワを寄せ、睨んでしまった。

「ひ!すみません」
 男子生徒は、他の生徒を同じような反応をした。

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