テキストサイズ

だぶるラブ! 僕の周りは花盛り

第3章 これで、学園の一員

「あのさぁ…」

 俊季は呼びかけられた気がして、目を開ける。

「ちょっと聞きたいんだけど…」
 佐が聞きにくそうな顔で俊季を見ている。

「なに?」
 俊季は質問を聞こうと思って、少し佐の方による。

「『花びらの君』って広瀬君なのかな?」
 佐が小声で俊季に聞く。

(やっぱり聞くんだ…ここは切りぬけないと…)

「それって!何?逆に僕が聞きたいよ。知ってる?」
 俊季はちょっと強めに質問返しで返す。

「ぼ、僕もあんまり詳しくないけど、会長ラブな友達が、言っていた感じが広瀬君みたいだったから…つい…ごめんね。変なこと聞いて…」
 佐は申し訳なさそうにいう。

「いや、その…僕こそごめん。ちょっとさっきのが衝撃的だったから…」
 俊季も後頭部の下をかきながらいう。

「さっき…確かに、僕もあれほどだとは思わなかったよ」
 さっきの取り囲みを思い出した佐は小さく肩で笑う。


「だろ?」
 同意がもらえてホッとする俊季。

「あれは、『引く』を通り越えてて、対処できなかったよ!」
 両手で自分の肩を触り震える真似をする俊季。

「広瀬君は、免疫ないよね…」
 佐は困った顔している。

「免疫?」

「うん。僕にはさっき言った会長ラブの友達がいるんだ。だから、入学前から情報を聞いている。というか、聞かされている?かもな」
 佐はさっきとは違う感じの困った顔をする。

「よかったら、会長ラブの友達さんの情報を教えてくれないな?」
(今後の参考にするから…)
 俊季が笑顔で言う。


「いいよ!コバの話では…」
 佐は胸の内ポケットから手帳を出して、ページをパラパラめくりだした。

(コバ?友達の名前かな?話を止めない方がいいから…あとで聞こう…)

ストーリーメニュー

TOPTOPへ