テキストサイズ

だぶるラブ! 僕の周りは花盛り

第3章 これで、学園の一員

「『会長が桜の門で知らない子とキスしていた』これが、噂の始まりだよ」

(桜の門…あそこか…)
 俊季は今朝の桜の木の下を思いだす。

(僕以外にも、あの挨拶してたんだ…きれいな顔してキス魔って、どうなのよ…
モヤモヤしてきた…)
 複雑な気持ちが湧き上がってきた俊季。



「エスカ組の情報では、小柄の男子生徒。新品の制服にカードを付けてない。髪の色は黒…」
 佐は俊季を見ている。

「小柄って…成長中だよ!」
 ちょっと身長の事は気にしている俊季。

「ごめん、悪気はないよ…」
 慌ててつくろう佐。


「会長ってキス魔なの?」
 俊季がこぼれるような声で質問する。

「キス魔?どうかな?よく女子の手の甲にしてるみたいだよ」

(やっぱり…あのキスは挨拶だったんだ…)
 一瞬会長の顔が浮かぶ。

(じゃ、なんで僕には頬にしたんだろう…)
 無意識に頬を触る俊季。



「…もしかして、あたり?」

「うう…確かに…頬にはさせた…でも、あれは挨拶だろ?」
 俊季は言葉に詰まっている。


「あー…と、なると…今から大変かもよ、エスカたちのアイドル会長様の唇に触れた子に対する羨望や敵意に晒されるんだね。早く恋人作って、ラブラブになるといいよ」
 佐はニコッと笑う。


 勝山は俊季の肩に手を置いて、ポンポンとする。

(ラブラブって、そう簡単にはいかないよぁ)
 俊季は心の中でつぶやく。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ