テキストサイズ

だぶるラブ! 僕の周りは花盛り

第5章 兄の背中を追って

  「あ、あの…離してください…」
 息が上がり、瞳に涙を溜め、身をよじらす俊季の姿を思い出す。


  ドクンッ
 錬馬の心臓が再び大きく高鳴る。


(な、なんで…)
 自分の心臓に疑問を持ちながら、もう一度俊季をみる。


 俊季は真っ赤な顔して座っている。



(やっぱり、知らない…。今まで見たことない…)
 錬馬は兄の交友関係を思い出しながら、考えている。


 「…が…………貫校へ。入学おめでとう」
 放送スピーカーから結真の声が聞こえてきた。


(あ♪)
 思考回路は兄LOVEモードに瞬時に変わる錬馬。


 結真は生徒会長として微笑をたたえて挨拶をしている。


(おおぉぉぉ)
 その微笑みにノックアウト寸前の錬馬。


「キャー!!会長様!」
「キングぅ!」
 黄色い歓声があがる。


(たく、兄さんの声が聞こえないじゃないか…)
 錬馬はゆらっと立ち上がり、ワーワーキャーキャー言っている所に近づく。

「静かにしろ!」
 錬馬が一喝する。その姿はまるで仁王像のような風格があった。


「あ、はい!すみません…」
 周りの生徒たちが青ざめながら、座っていく。



「よし!」
 錬馬は周りを見回して、座ったことを確認して、さっきの席まで戻ろうとする。

(少しは、役に立ったかな?)
 錬馬はキラキラ輝く兄を見ている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ