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「新入生の方は、こちらからお入りください。保護者の方は二階になります」
　校舎まで来ると、数人のスタッフが誘導していた。

　俊季は入学式の会場に入るとすでに、入学式に参加する生徒達が席に座っている。


（早かったんじゃなくて、僕らが遅かったのか…）
　俊季は、急いで空いている席を探す。


「どこに座ってもいいのかな？」
　俊季には、どこに座っていいのか分からない。

　席を見回していると、入り口近くにぽっかりと空いた席を見つけた。


「あ、あそこが空いている…」
　俊季は急いで、空いている席に座る。

　周りの生徒達がザワザワこっちを見ている。

（遅刻してるのかな…、みんなこっちチラチラ見てる…）
　小さくなりながら式が始まるのを待つ俊季。

「…おい、お前！」
　低い声が後ろから聞えてきた。

「は、はい？」
　後ろを向くと、眉間にくっきりとシワを寄せている男子生徒が睨んでいた。

「ひ！すみません」
　なぜか、謝ってしまった俊季。

「このオレ様の前に立つとは、いい度胸だ！」
　俊季の制服の衿を掴む男子生徒。

「立ってません、座っただけです」
　俊季は震えながら反論する。

　男子生徒は小刻みに震えている。