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不器用なくちびる

第10章 別離

「そうなると全体練習以外にも、
音楽室借りて吉井と合わせて
もらったりした方がいいと思うんだが…
時間とかいろいろ大丈夫か?」


先生…私が今忙しいから
気にかけてくれたんだ。
でも、春菜ちゃんを助けたいし、
吉井くんと少しでも話せるなら…


「大丈夫です…
是非、やらせてください!」

私は即答していた。

そして…
ドキドキしながら
吉井くんと一緒に教室に戻ると、
私はひとり春菜ちゃんの席に行った。


「春菜ちゃん!手…大丈夫?!」


「あぁっ〜栞!ごめんね〜!
なんか骨が折れまくってて
全然弾けそうにないんだぁ〜」


「折れまくってって…!交通事故?!」


「えぇっと…そんなことより〜
吉井と仲良くなって、息もピッタリ☆
って感じで必ず成功させてね!」


「う、うん///…がんばるね!
春菜ちゃんもお大事にね。」


まるで自分でやったみたいに
ぐちゃぐちゃに巻かれた包帯に…
私はその時気付いていなかった。

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