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不器用なくちびる

第10章 別離

忙しい日々はあっという間に過ぎ…
とうとう文化祭前日になった。

最後の全体練習も終わってしまい、
私は今更だけど寂しくなっていた。
ほんとに明日で最後なんだ…

みんな下校して、最後まで残ってくれて
いた春菜ちゃんも帰って行って…
吉井くんと私は最後の打ち合せを
していた。


「今井も言ってたけど、
伴奏自体はもう完璧〜!
あとは上がらないように…だよなぁ〜
香山、練習中も突然真っ赤になるし。
あ、今も(笑)」


「///…う、うん、がんばる。」


「このタクトとも明日でお別れかぁ〜
なんか寂しいよな。
もう明日でお別れなんて。」


吉井くんは私が明日でこの学校に来るの
が最後だなんて知らない。
知らないけど…
〝タクト〟のところを、勝手に〝香山〟
に置き換えてしまう自分がいて
また赤くなる私…キ、キモいよね///


「明日、本番終わったら
音楽室にタクト返しに行くから…
香山も付き合ってくれる?」


も、もちろん!…という意味を込めて
頭を縦にブンブン振る私だった。

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