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不器用なくちびる

第10章 別離

そして翌日…

静まり返った体育館。

私はピアノの前に座り精神統一する。
意外にも落ち着いている自分に
びっくり。

ふと観客席を見渡すと…
懐かしい瞳と視線が絡み合った。


橘くん…


でもそれは一瞬のことで、
すぐに視線を逸らされてしまった。

そうだよね…
橘くんはずっと連絡してくれてたのに
私は逃げてばかりで…
そのうち連絡は無くなってしまった。
橘くんは怒ってるんだよね…

私の胸がチクリと痛んだ。

あ、吉井くんからのアイコンタクト。
いよいよ始まるんだね。

私はイントロを奏で始めたのだった。

……………………

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