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不器用なくちびる

第11章 未来

あの夏以来の島は、
何にも変わってなくてびっくりしたけど
それがとても嬉しかった。

久しぶりに会ったおばあちゃんは、
まだまだ元気だったけど…
思っていたよりずっと小さく感じて。
私はちょっと焦ってしまった。
もっといっぱい会いに来たいな。

今回の滞在は5日間だけ。
おばあちゃんのお手伝いをしたり
友達と遊んだりして…
3日目、時間が空いた私はずっと
気になっていた場所に行くことにした。

あの白い灯台だ。

記憶を辿り、あの日、
橘くんと歩いた道を歩く。
あの日の通り脇道に入ろうとしたけど…
ふと思い立って灯台に登ることにした。

春休みとは言え平日だから誰もいない。
登り切ると、恋人たちが積み上げた
石たちが台の上にいっぱい並んでいた。

ジンクスだと、ここにお願いできるのは
1年に1回って一応言われてるけど…
少なくともここには、ここにある石の数
だけの恋人たちが訪れたんだ。

みんなは恋って…どうやってするの?

帰国する少し前から気付いた気持ち。
誰にも言えない気持ち。
私は悩み続けていた。

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