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不器用なくちびる

第3章 初恋

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そんな栞の姿を少し離れた席から
私は見ていた。

…かわいい表情しちゃって…

私は今井春菜。
多分この学校での栞の一番の友達。
あの子友達いないからね。

栞とは入学式で隣の席だった。

未だに学校に、というか
この街にさえ馴染んでない栞は
全然気付いてないけど…
栞は入学当初からかなり目立っていた。

小さな身体。白い肌に長い髪。
すごい美人という訳では無いけど、
触ったら壊れてしまいそうな可愛らしさ。
そして汚れてない透き通った瞳。

人間観察が趣味の私が思わず
ジロジロ見ていると、
栞が急にこちらを見て
バッチリ目が合ってしまった。


「あの…私、香山栞です。
あの人の名前どうしても知りたくて…
教えてもらえませんか?」


なんて直球…今時こんな子いるんだね。
私は吉井の名前を教えてあげると、


「私は今井春菜。春菜って呼んでね。」


と営業スマイルを作っていた。

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