テキストサイズ

不器用なくちびる

第3章 初恋

廊下に飛び出した栞の目に、
ぞろぞろと移動する
C組の生徒たちが見える。

急がなきゃ!

すると…
駆け出す栞の前に立ち塞がる人がいた。

橘くんだ…


「…急いでどこ行くの?」


相変わらず優しい声。だけど…


「…橘くんには…関係ない。」


「体調はもういいの?」


「…うん。おかげさまで。」


あれ、何言ってるの私⁈
惑わされてもたもたしてる間に
間に合わなくなっちゃうよ〜!

結局その日は吉井くんを
見ることはできなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ