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不器用なくちびる

第8章 策略

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波田野の怪我はかなりひどくて…

地元の名士で、大きな会社を経営して
いる(…らしい)
父親の知るところとなった。

鑑別所から戻ったその日に
問題を起こした椎名は、
少年院送りになるだろうとのことだった

あの部屋はたまり場として
たまに使っていたから
椎名は知っていたらしい。

椎名の過去のことは私は初めて知って…

椎名は本当にひどい奴だけど、
それでも波田野は絶対言っては
いけないことをを言ったと思う。

私は波田野にされたことを
公にしたくなかったから…
波田野はただの被害者になり、
結果的に私を助けてくれることに
なった椎名だけが責められることに
なってしまった。

私がされたことは事件扱いに
ならなかっただけで、
警察から両親の耳に入ってしまった。
みんな黙っててくれようとしたけど…
あの部屋の状況から
隠し切れなかったのだ。

両親は二人とも泣いていて…
前から椎名にされていたことは
やっぱり私の胸の中に
しまっておくことにした…

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