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不器用なくちびる

第8章 策略

学校では今回のことに私が関わっていた
ということが噂になって…
私はみんなから避けられていた。

春菜ちゃんや橘くんに興味本位で
いろいろ訊く人は多いみたいだった。
二人は口を閉ざしてくれていたけど…

きっと吉井くんの耳にも
入っているんだろうな。

私は二人と前のように
接することはもうできなかった…

春菜ちゃんからは手紙をもらった。

椎名と幼馴染だったことや、
ヤキモチをやいてちょっと意地悪な
気持ちでいたかもというような
ことが書いてあった。
私には何がほんとで何が嘘か
もうわからないし、
正直早く忘れたかった。

あと椎名の妹のこともその手紙で知った

あの写真は妹だったんだ…
両親が寄り付かなくなった家で
毎日あの階段を登り、
一人ぼっちの部屋に
帰らなければいけなかった
椎名はどんな気持ちだったんだろう…
と考えた。

橘くんからは…
会って話がしたいと
何度も連絡があったけど…
私は会う気になれなかった。

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