
溺れる愛
第10章 距離
(ということは…この有り得ない程の美人は…
那津のお姉さん!?)
驚きの表情を浮かべると、那津のお姉さんはそれでもどこか納得いかない様子で
「そんなー…せっかく可愛い妹が出来たと思ったのに」
と、寂しそうに呟いた。
だが、芽依はそんなのお構いなしに興奮冷めやらぬ様子で話しかける。
『あ、あの!那津のお姉さんなんですか!?』
「ん?うん。そうよ。7歳も離れてるけど」
全く気取らないその笑顔に、芽依は夢中になる。
『すっっごく美人ですね!羨ましいです!スタイルも抜群だし…あの、那津の家系は皆さんこんなに美形なんですか?』
目をキラキラさせながら話す芽依に
那津のお姉さんはくぅーっと唸って
「何この子!もぉすっごく可愛い!」
また抱きついてくる。
『そんな!お姉さんの方が数万倍も素敵です!』
「やだー!上手ねあなた!
ね、あなたお名前は?」
少し身体を離して、小さい芽依に目線を合わせて尋ねてくれる。
『あ、遅れてすみません。新井芽依といいます』
「芽依ちゃんね!可愛い名前!」
屈託なく笑うその笑顔に、芽依のハートは簡単に撃ち抜かれた。
