溺れる愛
第11章 結合
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あれからバスルームを出た後、すぐに那津も入浴を済ませて
また那津はパソコンへ、芽依はベランダに出て携帯を眺めていた。
【旅行はどう?楽しんでる?
また帰ってきたら話聞かせて】
俊哉からのメールに
“すごく楽しいです”と送り返したいのに指が動かない。
(本当の事を言ったら…きっと嫌われる…)
また視界がぼやけてきて、急いでそれを拭った。
【楽しいです。
またお話しします】
そう送り返してから罪悪感に苛まれる。
すぐに返信が来て
【邪魔してごめんね。
じゃあ、おやすみ】
その文面を見て、今度は堪えきれずに溢れて落ちた。
(先輩…ごめんなさい……)
芽依の静かな嗚咽が、漆黒の闇に吸い込まれていく。
夜風は少し身体を冷やしたが、部屋で那津と二人きりになる方が嫌で、しばらくずっとベランダに立っていた。