溺れる愛
第11章 結合
もう何時間もベランダから帰ってこない芽依を怪訝に思ったのか
那津が窓を開けてこちらへ話しかけてくる。
「…ずっとそこに立ってるつもりか?」
『……関係ないでしょ』
振り返らずに返事をする。
すると後ろ手に腕を捕まれて強引に部屋へと入れられた。
『…離してっ…!』
「あーもーめんどくせぇな」
那津は少しイラついた様子で芽依を乱暴にベッドの上へと放り投げた。
『きゃ…何するの…!?』
またあんな事をされると全身が那津を警戒する。
「何って…何かされたいわけ?」
那津は芽依をからかうように少しずつ距離を縮めてきて
ついには芽依に覆い被さる様な体勢になった。
『…い…や……』
「そんなにして欲しいなら、期待に応えてやるよ」
『いやっ…そんな事言ってない…!』
芽依の言葉を遮るように両手首を頭上で縛り上げ
そのまま唇を塞ぐ。
『んぅ!…んんーっ!』
(やだ…やめてっ…先輩…!)
目に涙を浮かべて、足をばたつかせるが
やはり力では適わない。
「その顔…そそる…」
芽依の悔しさで歪む顔を見て、那津は妖艶にほくそ笑んだ。
『お願い…那津……これ以上…先輩を裏切りたくない…』
芽依の懇願に、那津は冷たい視線で
「もう既に裏切ってんじゃん。おせぇよ」
と、芽依を突き落とす一言を言い放つ。
(もう…裏切ってる……)
その瞬間、芽依の身体から力が抜けた。