
溺れる愛
第12章 共犯
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「どうしたのその顔!」
波瑠の驚く声が寝不足の頭に響く。
『夕べあんまり眠れなくて…』
心配そうに覗き込まれると、何だか昨日の事が全てバレてしまうのではないかと一人焦ってしまう。
「やっぱりなっちゃんと一緒の部屋に泊まったからかなぁ…ごめんね、芽依ちゃん」
腫れた目元を親指で優しくさすりながら
波瑠は長いまつげを少し伏せた。
『いえ…そんなんじゃないです!波瑠さんは何も悪くないですよ』
(…本当はそうなんだけど…でも波瑠さんのせいじゃない。)
「今日は無理しなくていいから、辛くなったらすぐ言ってね?」
『はい、ありがとうございます』
今朝は朝食をとる元気も無くて、着替えて早々にホテルを出た。
道が解らないので那津と一緒だったが、その間会話は無かった。
支度が終わり、バックヤードから波瑠と二人顔を出すと
「じゃあ、今日も宜しくね!」
和人の挨拶で、海の家の営業を開始する。
芽依は、那津と出来るだけ距離をとって
仕事に没頭する事で考えない様にしていた。
