
溺れる愛
第12章 共犯
昨日と明らかに違ったのは、男性客が増えた事。
昼時の忙しい時間帯で、店内は満員だ。
昨日は女性客が大半を占めていたが今日は半々といった所だ。
『お待たせしましたー焼きそばでーす』
お盆に乗せた料理を客席へと届ける。
そこには3人組のいかにもチャラそうな面々。
(この人たち…ずーっと見てくるからやな感じ…)
来店してきた時からずっと芽依に視線を送ってきていた事は気付いていた。
テーブルに皿を並べた瞬間、その腕をギュッと掴まれて
思わず顔がひきつってしまう。
『ちょ…何するの…っ』
「ねーねー。君ちょー可愛いね。
昨日から気になってたんだー」
(やだ…気持ち悪い…)
掴まれた腕から、なんとも言えない不快感が全身を駆け巡る。
「休憩いつ?てか終わったら俺らと遊ばない?」
『…離してください。』
一応客と従業員という手前、暴言は吐けない。
芽依は必死に冷静を装った。
「ねーいいじゃん!ちょっとだけ話そうよ!
コイツガチで君に惚れてんだよ」
「おいおいサラッとぶっちゃけんなよー」
(やり取りが嘘臭いし…チャラチャラしてて…)
この手のタイプは大の苦手だった。
