
溺れる愛
第12章 共犯
「ふーやっとすいたねー」
『お疲れ様です』
「芽依ちゃんもお疲れ様」
昼時を過ぎて、ピークが過ぎ去った後の店内で
皆で一息ついていた。
「今のうちにご飯食べて」
まかないの焼きそばを渡されて快く受け取った。
「食べてる間だけでも休憩しておいで。」
和人に優しく微笑まれ、芽依はお言葉に甘えて
焼きそばの紙皿と割り箸を持って外に出た。
(…うーん…疲れたー…)
眩しい太陽と海を眺めながら
店から少しした砂浜へと続く階段に腰を下ろした。
人気は砂浜にかたまっていたため、周りには誰も居ない。
(…先輩…今何してるかな…)
ポケットから取り出した携帯を見ると
メールが入っていた。
【おはよう。今日も暑いね。
熱中症には気をつけて、水分いっぱいとるんだよ】
俊哉からのメールだった。
(ふふっ…先輩、お母さんみたい…)
画面を見ながら少し笑みがこぼれて、その瞬間に
一気に罪悪感が襲ってくる。
(こんなに優しい人を…私は裏切ったんだ…)
どうしても返事が出来なくて、でもその優しい声が聞きたくて。
芽依は少し震える指先で俊哉の番号を立ち上げ
通話ボタンをタップした。
