
溺れる愛
第12章 共犯
『はい…行きましょう、来年…』
「うん、約束な。あ、じゃあ俺休憩終わるから
また連絡するね」
『はい、突然すみませんでした…』
「なんで謝るんだよ。芽依は俺の彼女なんだから
いつかけてきたっていいんだよ?」
(彼女…そうだよね…私、先輩の彼女になったんだもんね…)
『…はい、ありがとうございます…』
「俺も…芽依の声聴きたかったから
かけてきてくれて嬉しかった」
もう涙はとめどなく流れていて、声も鼻声混じりだった気がする。
『私もです…声…聴きたくて…』
「うん…。また電話する。」
『はい…じゃあ、また…』
切られた携帯を握りしめて、膝に額を押し付けて泣いた。
ポタポタとアスファルトに黒い染みが出来て
それが広がっていく。
(好き…好きだよ先輩…ごめんなさい…)
────心は彼氏に置いとけ────
こんな都合のいいこと考えられないなんて言っておきながら
やはり考えてしまっている。
結局自分は狡い人間だと痛感した。
