
溺れる愛
第12章 共犯
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『ごちそうさまでした』
あれから泣くだけ泣いて、涙が止まった頃に
冷めた焼きそばを食べた。
泣きすぎた後だったので味はあんまり解らなくて
だけど和人の気持ちのこもった料理を残す気にもなれず
全て綺麗に平らげた。
時間はそんなに経っていない。
まだ少しだけ休憩していても良さそうだ。
後ろ手に手をついて、空を見上げると
もくもくとそびえ立つ入道雲。
目前には広い海。
そこにポツンと居る自分はすごくちっぽけに思える。
『…今日が終わったら、あと1日だ…』
それで那津と過ごす時間も終わる。
そしたら学校が始まって、もう那津は余り構って来なくなるのではと
淡い期待を胸に抱く。
『…よし、戻ろう』
そう思って立ち上がった瞬間
先程店でナンパしてきたあのチャラチャラした3人組が目の前から歩いてきた。
(…うわ…どうしよ…)
焦っている間にそのうちの一人の男と目があってしまい
マズいと思って走り出した瞬間
相手も同じ様に走ってくる気配がした。
(やだ…!追いかけてきてる…!どこに逃げれば…)
焦りから嫌な汗が流れ、それとは対照的に身体が冷えてくる感覚。
「おい!待てよ!」
「逃げんなって!おーい!」
後ろからは下品な声が飛んできて、芽依は更に動揺した。
(誰か…!)
