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溺れる愛

第12章 共犯





人は焦れば焦るほど判断を誤るもので、
人気の多い砂浜へ行けば良かったのに
反転して走ったために、どんどん人気が無い道へと来ていた。



「おーい!待てってー!」



(うそ…まだ追いかけてきてる…!)


男たちはどこか余裕ありげな態度で追いかけてくる。


そして、たどり着いた先で芽依は絶望した。



『…は…はぁ……嘘……行き止まり…』



海岸沿いを走って、そこは大きな断崖絶壁。
崖の真下に来ていた。


後ろを振り返ると、男たちは歩きながら
顔に嫌な笑みを浮かべて近付いてくる。


(やだ…どうしよう…誰か…)


焦りと恐怖でバクバクと音を立てる心臓。
手にはびっしょりと汗をかいていた。



「なんで逃げるのー?話しようって言っただけじゃーん」


品のない話し方にイラつきさえ覚える。



『い…嫌よ!来ないで!話なんてしない!』


壁に背をつけて、芽依は必死に叫んだ。



(お願い…誰か助けて…!)



このままでは自分は犯される事は目に見えて明らかだ。

だけど行く手を阻まれて為すすべもない。



とうとう男たちに周りを囲まれてしまった。



「つれないねー。話ぐらい、いいじゃん」

「え、何?それとももっとイイコトしたい?」


『…っ!触らないで!』


男が芽依の肩に触れそうになり、
睨みながらそれを叩いて避けた。


すると男達の表情はみるみる怒りを含んだものに変わっていき
その瞬間、芽依の背筋にゾッと悪寒が走る。



(逃げなきゃ…やられる…!)



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