
溺れる愛
第12章 共犯
『これ…ありがと…』
着替え終わって、借りていたパーカーを
ソファでパソコンをいじっていた那津に手渡す。
「あぁ…」
短く返事をして、顔を上げずに手だけを出され
そこに合わせて差し出した。
「今日はもう休んでろってさ」
『え…でも…』
「一応、迷子になって半べそかいてたって事にしたから」
『ま、迷子って…』
(そんなあからさまに嘘っぽい理由…)
たぶん信じてはいないだろうけれど
何となく察知してくれた波瑠の優しさだろう。
「俺もついててやれって」
『…そう』
「俺がついてる方が危ねぇのにな?」
ニヤッと口の端を持ち上げて意地悪く笑うと
優しく腕を掴まれて、那津の隣に座らされる。
『なに…?』
「ん…どこ触られた?」
(え…?なんでそんな事聞くの…?)
