
溺れる愛
第12章 共犯
『えっ…と、ほっぺた叩かれて…胸を少し…』
(なんか…言うの嫌なんだけど…)
俯き加減で正直に告げると、那津はそっと顔を近づけてきて
少しだけ赤くなった頬に口付けた。
(なっ、なに…!?)
咄嗟の事で身体を硬直させるが、それとは反対に心臓が忙しく動き出す。
そのまま何度も触れては離れての、優しく啄む様なキスを頬に落とされ
くすぐったい様な感覚に心が和んでいった。
『…どうしたの…?』
「んー…消毒」
『消毒?もしかして切れてる?』
叩かれた拍子に口の端を切ったのかと思いきや
「違う。俺の大事な玩具、汚されたから」
『…玩具って…人間なんだけど』
「俺からしたら可愛い玩具」
(大事とか可愛いとか…何なのよ本当に…)
すると今度は、那津の手が服の裾から侵入してくる。
思わずビクンと身体を震わせて、その手を制した。
『待っ…何するの…!』
「だから消毒だって」
トサッと優しくソファの上に組み敷かれ
整った顔立ちを目の前に少し息をのむ。
『い、いいよ…そんな事しなくて…』
「それは俺が決める」
フワッと潮の香りがして、那津の唇が
そっと芽依の唇に重なった。
