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溺れる愛

第3章 喪失





帰り道、何気なく家電量販店の展示テレビに目をやると


「通り魔被害が多発しています」


すっと耳に届く声で、画面に映るアナウンサーがニュースを読み上げる。



(この被害現場って、ここから近い…)


少しの不安を覚えながら、なるべく人通りの多い場所を選んで急いだ。



(家の近くは完全な住宅街で、人が少ないんだよね…)



気がつくと辺りは薄暗くて、少し肌寒い。


曲がり角を曲がったら自分の住む家。


(早く帰ろう…!)



小走りで角を曲がると、少し先から柄の悪そうな男達が歩いて来るのが見えた。


相手は2人。


(さっきのニュースでは単独犯だって言ってたっけ…)


ホッとしながらその場をやり過ごそうとすると、
その2人と目があってしまった。


焦ってパッと目を逸らして通り過ぎようとすると、その男達は芽依の行く手を阻んだ。



『…っ』


「ねーねー。今目合ったよねー。きみ一人?」



(やだ…何この人たち…)



無視してまた歩き出そうとすると、今度は腕を掴まれてしまった。



『…っ!離して!』



(やだ…気持ち悪い…怖い…!)



「よく見たらきみ可愛いねー!ちょっと俺らと遊ぼうよ」



グイグイと腕を引っ張られる。



(誰か…助けて…!)



ギュッと目を瞑った瞬間、後ろからふわりと肩を抱かれて、誰かの腕の中にすっぽりと収まってしまった。



「俺のに何か用?」




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