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溺れる愛

第13章 疑惑





「うちの家庭ってね…色々問題があって…。
詳しくは私からはやめておくわね。

ただ本当に複雑で…。

そのせいで、あの子…那津は心を閉ざしてしまったの。

もう少し私に勇気と力があれば守ってあげれたんでしょうけど…
私にはそれが出来なかった。


あの子はね、誰の事も信用しない。
本当の自分を一切他人に見せようとしない。
私にだってそう…。」



『…そんな事…』



「あるのよ。悲しいけどね…。

でも、芽依ちゃんと居るときのあの子を見てると
なんだか小さかった頃の明るかった那津を見ているようで

芽依ちゃんの前では、少しだけど自分を出せていると思うの。

それに、芽依ちゃんも飾らない良い子だし…

芽依ちゃんみたいな女の子と居ると
昔の那津に戻ってくれるんじゃないかって本気で思った…。」



『…波瑠さん……』



波瑠はうっすらと目に涙を浮かべて芽依と向き合い、
その手をとって両手で包み込んだ。



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