溺れる愛
第13章 疑惑
「あの子…凄く不器用で臆病だけど…
だけどその分人の気持ちには凄く敏感なの。」
(…信じられない…本当に?)
「芽依ちゃん…どうかあの子を…
那津を信じてあげて。
すぐに憎まれ口を叩いてしまうけれど…
人を遠ざけようとしているけれど…
それでも手を離さないでやって欲しいの」
波瑠の真剣な表情に引き込まれて
芽依も息をのんで頷く。
「こんな勝手な事…彼女でもないのに頼んでしまってごめんなさい。
だけど、お友達としてでもいいから…
あの子の支えになってやってほしいの…。
本当は凄く寂しがりやで優しい子なんだ。」
『…そう…なんですね……』
「芽依ちゃんが側に居てくれれば
きっとあの子も心を開く時が来るはずだから。
その時に、多分家庭の事も全て話してくれると思うから…」
『本当に…私なんかで役に立ちますか?
なんだかいつも酷い態度で煙たがられますけど…』
那津の心底鬱陶しそうな顔が頭をよぎる。
すると波瑠はふわっと優しく笑って続けた。