溺れる愛
第13章 疑惑
「じゃあ、また放課後な」
『はいっ!部活、見に行きますね』
下駄箱で互いに正反対にある棟へと歩き出して別れた。
初めて彼氏と登校する。
はやりそれは凄く浮き足立ってしまうもので
鼻歌なんて歌いながらにやけ顔で教室へと向かった。
その時、後ろから何かコソコソと話す声が聞こえた気がしたけれど
今の芽依には気付く余裕なんて無いに等しい。
「………何今の……」
「てゆーかあいつ誰だよ」
女の声。
嫉妬の声。
この正体に気付くのはそう時間がかかる事では無かった。
それは前触れもなく訪れる。