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溺れる愛

第13章 疑惑






────────………



『きゃっ…!』



ザザッと地面に擦り付けられる様に倒されて
すぐさま身体を反転させて自分を見下ろす相手を見る。



(1、2、3……7人の女の…先輩?)



何故こんな状況に陥ったかというと、それはついさっきの事。

昼休みになり、いつもの様に桃花達と机をくっつけてお弁当を広げていると
突然呼び出され、体育館裏というベタな場所へ連行され
着いた途端に背中を勢い良く押されて倒れ込んだのだった。



鬼の形相で、リーダー格と見られる女が
芽依の胸ぐらを掴んで距離を詰める。


「あんた…川上の何?」


『え…あの……』


(どうしよう…怖いよ…何なの…?)


女先輩に呼び出され、リンチの様な状態になった経験など一度もない芽依は
その恐怖から上手く話すことが出来ない。


おまけに倒された拍子に擦りむいた肘と膝からは血が滲んでいた。



「どういうつもり?」


『な、何が…ですか…?』


「は!?とぼけんなよ!
堂々と人の男に手ー出しやがって!!」



その瞬間、芽依の思考回路が停止した。



(人の……男………?)



その時、リーダー格の女の後ろに居た一人の女が
わぁっと声を上げて泣き崩れた。



「あの子、川上と付き合ってんの。
なのに今日あんた一緒に学校来てたよな?
納得のいく説明してもらおうか?」


相変わらず掴まれた胸ぐらが後ろ首を絞めて痛かった。

だけどそんな事よりもただ混乱していて
状況を上手く飲み込めない。



(……二股……?)



自分で考えたこの言葉に、身体から血の気が引いていくようだった。



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