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溺れる愛

第14章 錯乱




恐る恐る顔を上げると、俊哉はまた芽依の見たこともない冷たくて怖い顔をしながら
振り払われた拍子によろけた女を見下ろしていた。



(…せん…ぱい……?)



見たこともない彼に少しの恐怖を覚えながら身を固まらせていると
いきなりグッと肩を抱かれて引き寄せられる。


『ぁ…っ…』


小さな声が洩れて、そのまま彼を見上げる。
俊哉はその冷たい表情のまま低い声で続けた。



「何って俺の彼女だけど」


その一言に、何故だかズキッと心が痛んだ。



「彼女って…私は!?私はどうなるのよ!」


「どうなるもこうなるも…お前とはもう終わったよな?」


「なっ…あんな一方的にいきなり言われて
納得なんて出来ない!」


「はぁ…てゆうか、まずお前と付き合った記憶は無いんだけどな、俺」



その一言に、芽依とその女は同時に驚いた表情を見せた。



「…お互い都合のいい時だけって、最初に納得してやったよな?お前も彼氏いたし…違うか?」



(え…!?それって……セフレ…って事…?)


俊哉の腕の中で、芽依は益々目を丸くして俊哉を見た。


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