
溺れる愛
第14章 錯乱
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通学路の途中にある、人気の少ないブランコとベンチだけが設置された狭い公園で
2人は少し距離をとりながら並んで座っていた。
そして重い空気が流れる中、先に沈黙を破ったのは俊哉だった。
「…ごめん、びっくりさせて…」
『…いえ…大丈夫です…』
目を合わせる事が出来ず、膝の上で手をギュッと握り締めて俯いたまま返事をした。
「俺…芽依に嫌われるのが怖くて…
隠してて悪かった…」
『…さっきの人の事…ですか?』
「うん…もう、隠し事するの嫌だから…
芽依、訊いてくれる…?」
その声に誘われる様に視線を上げて俊哉を見ると
彼はひどく傷ついた様な顔をしていた。
(先輩…そんな顔…しないで…)
「俺な…さっきみたいな奴が他にも何人かいた。
誰とも本気で付き合う事もせずに…ただその場その場の付き合いで…」
(それって…やっぱりセフレだよね)
静かに頷くと、俊哉は苦しそうに続ける。
「相手に彼氏が居ても関係なくて…そんな事ずっと続けてた時に、芽依に気付いたんだ」
『……はい…』
「多分…俺の事好きなんだなってすぐ解って…
だけど段々、俺も芽依に練習を見て貰える事を期待してるって気付いた」
彼のその切ない表情に、またズキッと心が痛む。
「それから偶然、芽依が俺にぶつかってきて…
その時めちゃくちゃドキドキしたんだ」
