無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「芽依…？」


驚いた表情を浮かべる俊哉に、更に芽依は涙ぐみながら続けた。



『私を…私の為を想って…してくれた事は
格好悪くなんてないです…！
むしろ格好良すぎて…私なんかが先輩の彼女だなんて
今でもまだ信じられないし、それに───』



一気にまくし立てる芽依をたしなめる様に
俊哉の長い腕が伸びてきて、その中に収められる。



「…ありがとう…もう、充分」



『…先輩……』



彼の筋肉で硬い胸板に頬を付けて、その心音に安心する。


「芽依と合宿行くってわかった時点で、告白しようって決めてたから
その前に全員切ったんだ…信じて欲しい」


『…もちろん…信じてます…』


おずおずと彼の背中に腕を回して、きゅっと抱きしめ返すと
更に腕の力が強まって、苦しいくらいに抱き締められる。



「…もう泣かしたりしない…ずっと一緒にいような…」


『……先輩…っ…』


また、涙で視界が滲んだ。


“はい”と答えられなかったのは
抱き締められる腕の力と比例して増す罪悪感から。