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溺れる愛

第14章 錯乱






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日曜日の昼下がり。

夜勤の母のために、食材のおつかいに出かけていた。

サーモンピンクのワンピースに白のカーディガンを羽織って、お気に入りのミュールを履いて
賑わう繁華街を歩く。



(えーっと…卵とお豆腐と…挽き肉と…)


母の手書きのメモを確認しながら、駅前のスーパーで手早く買い物を済ませ、食材を詰めた袋を片手に下げながらぷらぷらと歩いていると
通りの一角にあるジュエリーショップが目に留まった。



(わぁ…可愛いこれ…!)


ウインドーから見える位置に飾られた
シルバーのハートに所々小さなダイヤの石が埋め込まれた綺麗なネックレス。



「良かったらご試着されてみますか?」


じっと眺めていると入り口から店員の綺麗なお姉さんに声をかけられ


『あ…でも…』



(お金…持ってないし…)


値札に記載された金額は59800円。
とても芽依のお小遣いでは買えそうになかった。



「ふふ。つけてみるだけでも是非」


そう店員に柔らかく微笑まれ



『じゃあ…つけるだけなら…』



そう言って店の中へとエスコートされた。



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