
溺れる愛
第14章 錯乱
「まぁ!とってもよくお似合いですよ」
『ほんと…綺麗なネックレスですね…』
店員に後ろからつけてもらったネックレスを
鏡の前でうっとりとしながら見つめる。
高校生には少し背伸びした大人な雰囲気のネックレスに
自分も一歩大人に近づいた様な気分になってしまう。
『わざわざありがとうございました。
とてもいい体験が出来ました』
店員さんにネックレスを外して貰ってお礼をすると
またにっこりと微笑まれる。
「いつか、素敵なお相手と一緒にご来店いただける事を祈っております」
その恭しい仕草にポーッと見とれてしまうが
言われた内容が少し気恥ずかしい。
『はは…そう出来るように頑張ります』
照れながら相槌を打って店を出ようとすると
一足先にその入り口が外側から開かれた。
思わずぶつかりそうになってしまって
サッと避けて謝ろうと、その人物の顔を見て
芽依は余りの衝撃に硬直してしまった。
『…え……?』
(嘘……え……?)
