
溺れる愛
第15章 確信
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『わぁ…!すっごく綺麗!』
「本当だ。凄いね。一面真っ白」
芽依と俊哉は、朝から出発して長野県に来ていた。
もちろんスノーボードをするため。
俊哉は経験者らしく、芽依は初めてなので教えてもらいながら滑る予定だ。
レンタルしたボードを両手でしっかりと握りしめ
ゲレンデに俊哉と並んでしばらくその白銀の世界を眺めた。
「よし!そろそろ滑ろうか?」
『はいっよろしくお願いします!』
「OKーじゃあまずは板履いてみようか」
他のスノーボードやスキーに訪れていた客に混じって
初心者コースを滑る。
慣れれば楽しくなってくるもので
キャーキャーとはしゃぎながら
夕方までひたすら遊びながら滑っていた。
こうして俊哉と楽しくしていれば
その間は那津の事を忘れていられる。
だけどそれは俊哉を利用しているようで
そんな自分も許せなかった。
ただ一途に真っ直ぐ愛してくれている彼を
何を考えているかわからない歪んだ表現しかしない彼の穴埋めに利用しているような、そんな感覚。
これって本当に好きって言えるの?
と何度も自問自答を繰り返す。
もう、最初の頃の様に
俊哉の仕草や言葉の一つ一つに顔を赤らめる事も
無くなってきていた事に、まだ気付けていない。
結局、立ち止まったままだった。
