
溺れる愛
第15章 確信
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宿泊先のホテルの部屋で
入浴と夕食を済ませた2人は静かに窓から覗く
夜の雪景色を眺めていた。
(この時間は大抵那津の家にいるな…)
また自然に彼の事を考えてしまっている事に気付いて
芽依は小さく溜め息を吐いた。
「疲れた?」
『え…?いえ、大丈夫です』
溜め息に気付いた俊哉が心配そうに顔を覗き込んできて
前ならその近さにドキッとしていただろうけれど
今はそうはならなかった。
(今は…先輩といるんだから…)
そもそも今回の旅行は、改めて俊哉を見つめ直そうと思って決めたこと。
那津とはいずれ終わるのだ。
このモヤモヤした気持ちも早くぬぐい去らなければいけない。
また考え込んでしまっているうちにどんどん口数が減っていく。
そこで俊哉がポツリと切り出した。
「なんか…心此処にあらずって感じだね」
その言葉にギクッとした様な引きつった顔をしてしまって
咄嗟に取り繕う。
『そ、そんな事ないですよ…っ』
だけど俊哉の顔はすごく真剣で
それに怖じ気づいて言葉を飲み込んでしまう。
言われたことが図星だったから。
