
溺れる愛
第15章 確信
「芽依…自分で気付いてないの?
最近ずっとそんな調子だよな」
『え……そんな事…』
「あるよ。
明らかに前とは違う。
俺に何か隠してる事でもある?」
『……っ…』
その探るような視線が、まるで全てを見透かしているようで
全身が強張るのが自分でもわかる。
─────浮気してます─────
もう言ってしまおうか。
言ったら楽になるだろうか。
そんな事をすれば確実に俊哉とは終わる。
だけど、もうそれでもいいと思ってしまっていた。
(もし先輩と別れたら…那津は何て言うかな…)
────芽依は俺だけのものだろ?─────
そう言っていた那津の声が耳に残っていて。
それに期待している自分もいて。
そこで、また俊哉が
今度は一段と低い声で呟いた。
「今また…違うこと考えてたよな」
『……あの………』
その鋭い視線に全身を射抜かれて動けない。
彼は静かに怒りを露わにしている。
(どうしよう…なんだか怖い…)
冷や汗が一筋、背中に伝った気がした。
