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溺れる愛

第15章 確信




それから、那津との出会いや関係を持つようになったキッカケ。

そこからの自分の気持ちとの葛藤や
あの女の子を見てしまってからのモヤモヤ

だけど本気で俊哉を好きだった事もしっかりと伝えた。



全てを聞き終えた俊哉は
とても穏やかで、少し笑いながら話してくれる。


「盗撮かー。俺、別にそんな事で芽依を嫌いになったりしないよ」


『でも彼が…自分なら引くって…』


「あーあ。その時俺に正直に言ってくれてたら…
俺たち今頃どうなってたかな」


『…そうですね…本当に…』



自分はつくづく馬鹿だと思う。

あの時那津の口車に乗せられる事なく
俊哉と向き合う覚悟さえあれば、こんなにも自分を
俊哉を傷付けずに済んだはずだ。

最初に那津に身体を許してしまった時点で、結局こうなる事は運命だったのかもしれない。



『本当に…ごめんなさい…』


「まぁ…そりゃ正直に言えばすげぇ腹立つし
相手の男を殴りたい気持ちでいっぱいだけど…

でも、芽依を悲しませる事は一番したくないから」


『先輩……』



本当に、どこまでも優しい俊哉を
何故自分は選べないのか。

やはり馬鹿だと尚思う。


「そいつは…芽依のこと、ちゃんと考えてくれてるのか?」


『…それは…わかりません…。
ただの気まぐれかもしれないし…』


「はぁ~…そんな奴に負けるって、なんか本当にすげぇイライラする」


そう言って笑いながら、くしゃりと頭を撫でられる。


「もしそいつが原因で辛いときは…いつでも頼っておいで」


『せ…んぱい……』



(あぁ…そんな顔で笑わないで…優しくしないで…
もっと怒って罵って……

じゃないと…涙を我慢出来ない…)



自分が悪いのだから絶対に泣くまいと決めていた芽依は
唇を噛み締めて涙を堪えた。



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