溺れる愛
第17章 社会人編スタート
とりあえず、今は目の前の大きな仕事に集中したいから
この案件が終わったらという約束をしてその日は家に帰った。
私の自宅はお世辞でも可愛いとは言えない。
せっかくの綺麗な1LDK。部屋は10畳もある。
だけど私は、リビングにはガラステーブルと無地の茶色のクッションに汚れが目立つのが嫌で
またまた茶色のラグをひいている。
あとはテレビのみ。
寝室はベッドと、母から譲り受けたドレッサーのみ。
ベッドもごくごく普通の折りたたみ式。
クローゼットの中もスーツだらけだし
可愛い私服なんてほぼ無いに等しい。
靴も、出勤用の黒い革靴ばかりで
あとはサンダルやクロックスのみ。
私って…本当に24歳なの?
普通の24歳の女の子って、もっとキラキラしているよね?
たまにこんな自問自答をしては情けなくなる。
どうしてこんなに、お洒落とかそういう類に無頓着になってしまったんだろう。
やっぱり女の子は恋をして綺麗になるって本当なのね…。
今の自分を見ているとつくづく痛感する。
気にかけている事と言えば体型維持くらいで
これもクライアントの印象を良くするため。
本当に何の取り柄もない大人になってしまいそう…。
いいえ、私には仕事がある。
そうよ、仕事が恋人なんだから。
そんな事を思いながら、私はグイッと缶ビールを喉に流し込んだ。