溺れる愛
第18章 久しぶりのときめき
しばらくして、前菜から順番に料理が運び込まれ、
ナイフとフォークを自在に操る田所さんに感心しながらも
なんとか私もそれなりに使いこなし、失礼のないように努めた。
そして、デザートのケーキと珈琲が来たところで
仕事の話から一変してプライベートな話へと切り替わる。
「失礼を承知でお窺いしたいのですが…
新井さんはおいくつですか?」
『え?年ですか?今年で24になります』
「え!それにしては随分落ち着いてらっしゃる。
見た目はお若いから不思議に思っていたんです」
『はは…それ、よく言われるんです。
でも裏を返せばオバサンっぽいって事ですよね』
「そんな!とんでもない!
実は僕も今年で24なんです。同年代と解って驚きました」
『え!同い年…田所さんこそ、私より随分落ち着いていらっしゃいます。
同い年だなんて信じられません』
「ははっ、それってオジサンっぽいって事ですか?」
『あ…ふふ、いいえ、そんな事…』
「はは…本当に面白い方だな。新井さんは。」
な、何なんだろう…この和やかな空気…。
なんだか田所さんって人を乗せるのが上手いというか…
気がついたら彼のペースに嵌まっているわ。
でも全然嫌な感じではないし…不思議な人。
そう言えば、いつの間にか緊張も解けているし…
田所さんのおかげね…。