溺れる愛
第3章 喪失
そのまま額をくっつけられて、至近距離で那津が囁く様に言った。
「ま、こんないい玩具
そうそう手放す気はねーけどな」
そしてそのまま、反論は許さないと言わんばかりに強引に唇を奪われた。
『んんっ…!』
(やだ…!やめてっ!!)
抵抗しようと、那津の胸を手で押すが、いとも簡単に両手首を片手で掴まれ、そのまま頭上に引き上げられて後ろへ倒される。
(やだ…!助けて…誰か…!)
グッと上から那津の体重がのしかかってきて、それが余計に恐怖を煽った。
ジタバタと脚を動かしても、女の力ではどうしようもなく、何の意味も持たない。
ギュッと閉じていた目をそっと開けると、那津は芽依の反応を楽しむかの様にじっと見つめていた。
強引なキスをされながら、見つめ合う。
芽依の目からは、止まることなく涙が溢れ出る。
ギュッと掴まれた手首がじんじん痛む。
でも、一番痛いのは、何よりも心だった。
(初めてなのに…。こんな奴に…私のファーストキス…奪われるなんて…!)
那津への憎しみがふつふつと心を黒く染めていく。
那津は空いている方の手で、芽依の堅く閉じた唇を強引に開かせて
そのままグッと舌をねじ込んだ。
『んぅ…!!』