溺れる愛
第18章 久しぶりのときめき
次の日、出社した途端、菜々子ちゃんがとてつもなく興奮した様に飛びついてきた。
「先輩!大ニュースですよ!!」
『おはよう、菜々子ちゃん。
どうしたの?』
「これ!見て下さい!!」
ずいっと目の前にスマホを突きつけられ、
なんだろうと思いながらその画面を見た。
『八年ぶりの…レオン?』
「そうなんです!ずーっと執筆活動をしてなかったらしいんですけど、八年ぶりに出版されるんですよ!」
『へぇ…有名な人なの?』
なんだか…どこかで聞いたような気もするけれど…
「えぇー!先輩知らないんですか!?
女性に大人気の官能作家ですよ!
私も大ファンなんですよーっ」
『官能作家……官能…小説…?』
女性に大人気…あれ…これどこで聞いたんだっけ…
八年ぶり…
レオン……
────あれ、俺なんだよね────
『─────っ!!』
那津…那津だ…!!!
その瞬間、私は菜々子ちゃんの手からそのスマホを奪い取って画面を凝視していた。
少し驚いた様な菜々子ちゃんの顔は、すぐにパーッと笑顔になって
「先輩も好きなんですね!」
とか言っていたけど…ごめん、今は聞けない。
だって那津が……那津が生きてる。
それが解っただけでも、心の底から安心したから…。