
溺れる愛
第18章 久しぶりのときめき
良かった…生きてたんだね…。
元気にしてるんだよね…。
久しぶりに、那津を少しだけ近くに感じられて
それだけでも胸がいっぱいになってしまった。
スマホを持つ手が震える。
嬉しいとか良かったとか…色んな感情が混ざってよくわかんない…
「先輩…?え、どうしたんですか?」
オロオロしながら菜々子ちゃんは困ったようにハンカチを差し出してくれる。
『え…?』
なんでハンカチなんて…
「何かありました…?」
私……泣いてる…?
気付いた時には、私の頬は伝う涙で濡れていて。
はらはらと地面に染みを作って、止まらない。
『あ…ごめんね、違うの…ほんとに…!』
いけない…!ここは職場なのに…
焦って周りの様子を窺い見るも、気付いてる人物は居なかった様でほっとする。
菜々子ちゃんの可愛いレースのハンカチを
ファンデーションで汚してしまうのも申し訳なくて
急いで手で涙を拭いて笑ってみせた。
『ごめんね、驚かせて…本当に何でもないの。
ただ昨日、泣ける映画を観て…まだその余韻が抜けてないみたい』
苦しい言い訳だけど…私は奪い取ってしまったスマホを返しながらもう一度笑った。
