溺れる愛
第18章 久しぶりのときめき
その日の夕方、打ち合わせのために田所さんと菜々子ちゃんと
先方の会社近くのカフェに来ていた。
もうなんとなくイメージが出来上がってきて
そろそろ家具や機材の搬入予定や工事の日程など
大まかな事も話し合っていた。
「では、この3枚のデザイン画の中から
アンケートをとってみます」
『はい。宜しくお願いします。
それらを参考にして、更により良い物をご提案させていただきます。』
「それは楽しみですね。こちらこそ宜しくお願いします。」
話の終わりが見えてきた頃、菜々子ちゃんが御手洗いに行くと言って席を立った。
もう、取引先の相手を前に御手洗いなんて…!
菜々子ちゃんのよく言えば天真爛漫な行動に
内心ヒヤヒヤしつつも、田所さんはさして気にした風でもなくて少し安心する。
そして、またあの含み笑いをしてこちらを見て来た。
「…ね?面白い事が起きたでしょう?」
『……?』
何の事だかいまいちぴんとこないけど…
「…レオン……本、書いたね」
『それが…何か?』